かわさき健幸福寿プロジェクト金賞受賞。バナナ園グループが示した「選ばれる介護」

第9期かわさき健幸福寿プロジェクトにおいて、バナナ園グループは金賞2事業所・銀賞4事業所、合計6事業所の受賞という快挙を達成しました。さらに今回は、川崎市内の数ある介護施設の中からバナナ園グループの『のんびりーす等々力』が訪問動画の取材先に選ばれ、入居者さまの取り組みが紹介されました。また、独自の運動療法バナトレをステージで披露する機会もいただき、受賞にとどまらず“選ばれる存在”として注目を集めた特別な表彰式となりました。
本記事では、今年の表彰式のポイントを振り返りながら、バナナ園グループが金賞を受賞した背景や入居者さまの事例、そして注目を集めたバナトレの実演についてご紹介します。
川崎市独自の評価制度と、バナナ園グループの成果

介護の現場では、入居者さまの生活改善が見られても、必ずしも施設にとってプラスになるわけではありません。現在の国の介護制度では、要介護度が改善すると「必要なサービスが減る」とみなされ、施設の報酬も下がってしまいます。本来なら喜ばしい改善が、介護施設にとっては不利に働くという矛盾があります。これを補うために生まれたのが「かわさき健幸福寿プロジェクト」です。この制度によって、利用者の“できる”を増やす努力が正しく評価され、施設のモチベーションや介護サービスの質向上につながっています。2016年の開始以来、バナナ園グループも積極的に参加してきました。
式典の挨拶で福田市長は「711名の参加者のうち99名が要介護度を改善。これは全国平均の約2倍の成果です」と紹介。川崎市が独自に作り上げた評価制度が、確実に利用者の生活改善につながっていることを表しています。
そうした中で、バナナ園グループは今年も入居者さまの介護度を改善し、金賞を受賞。音楽療法や狂言教室、水耕栽培体験など、入居者さま一人ひとりの興味やできる事に合わせた幅広い活動を展開しています。特に、姿勢や呼吸を整える運動療法「バナトレ」は、自立支援や介護度改善に大きく貢献してきました。こうした日々の積み重ねが、高く評価される結果となりました。
訪問動画に選ばれた『のんびりーす等々力』。金賞の背景にある物語

表彰式では、アンバサダーである風間トオルさんが、顕著な成果を挙げた事業所を訪問し、その取り組みを紹介する特別動画が公開されました。数ある候補の中から選ばれたのは、バナナ園グループ『のんびりーす等々力』。映像では、金賞を受賞した入居者・押田さまの暮らしが紹介されました。
入居当初は介護度が高く、気力も落ち込んでいた押田さま。しかし、日々のケアを重ねるなかで心身ともに回復し、歩行が安定して階段の昇降も可能に。排泄面でも改善が見られ、介護度は二段階の改善を果たしました。もともとお世話好きな性格も徐々に表れ、周囲の入居者さまに声をかけたり、ちょっとした手助けをしたりする姿が増えていきました。
その姿を見守ってきた職員たちは「もっと本人らしく、前向きに過ごせる環境を」と考え、介護施設では珍しい“就労支援”の仕組みを導入。押田さまは非常勤のケアアシスタントとして、週4日・1日1時間、手すりの清掃や新聞紙を折る作業などを担っています。

動画には、掃除や洗濯のお手伝いをする姿、そして入居者さまに声をかける姿が映し出されました。インタビューで押田さまは「今が一番幸せ」と話しており、その言葉からは“必要とされる喜び”と“生きがいを持って暮らす姿”が伝わってきました。押田さまのこれまでの変化は、バナナ園グループの画期的な取り組みが生み出した成果の象徴として紹介されました。
▼風間トオルさん訪問動画はこちら
https://kawasakifukuju.jp/movie/2025_houmon-nonbirisu.mp4
市から注目を集めた『バナトレ』。会場で実演

訪問動画の中で紹介された、バナナ園グループ独自の運動療法「バナトレ」は、押田さまの介護度改善にも大きく寄与した取り組みの一つです。その効果をより多くの方に体感してもらいたいという市からの依頼を受け、バナナ園グループの職員が表彰式のステージに登壇しました。
実演では「姿勢」「呼吸」「骨盤底筋」を意識することが、介護度改善や排泄の自立につながる重要なポイントであると解説。専門的な器具や難しい動きは必要なく、日常生活の中で無理なく続けられる工夫が詰まっていることも紹介されました。
この実演には、特別公演ゲストとして登壇していた俳優・つちやかおりさんも参加し、会場で流れた「ふるさと」に合わせて一緒に歌を歌い、体を動かしてくださいました。つちやさんは公演の中で「認知症の母も昔の歌は覚えていて、一緒に歌う時間は互いに心の支えになりました。音楽には人を前向きにする力があると思います」と話しており、その言葉どおり会場全体が笑顔と活気に包まれ、あたたかな一体感に満ちた時間となりました。
受賞の先にある、バナナ園グループの想い

今回の表彰式は、バナナ園グループにとっては単なる受賞の場にとどまらない、大きな意味を持つ場となりました。訪問動画で紹介された、のんびりーす等々力の取り組み、そしてバナトレの実演を通じて、私たちが日々大切にしている「その人らしさを尊重し、一人ひとりの声に耳を傾けながら、できる力を引き出す介護」が多くの方に伝わる機会となったと実感しています。
会場で響いた歌声や笑顔、そして押田さまの「今が一番幸せ」という言葉は、介護が持つ価値と可能性を改めて教えてくれるものでした。
これからも私たちは、入居者さまやご家族が自分らしく暮らせる日常を支え、地域にとって“選ばれる存在”であり続けられるよう、挑戦を重ねてまいります。