BANANA NEWS 2026.2 vol.228 ぬいぐるみ型対話AI『AOGU こころ』(通称:ここちゃん)

BANANA NEWS 2026.2 vol.228 ぬいぐるみ型対話AI『AOGU こころ』(通称:ここちゃん)

節分が終わり、いよいよ春の到来を待ちわびる頃となりましたが、皆様お変わりございませんでしょうか。BANANA NEWS vol.228です!今号では、認知症ケアに特化したぬいぐるみ型AIロボット「AOGUこころ」(通称:ここちゃん)を特集します。

ぬいぐるみ型対話AI 『AOGU こころ』(通称:ここちゃん)と考える、これからの認知症ケアとコミュニケーション

このたびバナナ園グループでは、入居者様の日常の会話や安心感を支える取り組みの一環として、AOGU株式会社が開発したぬいぐるみ型対話AI「AOGU こころ(通称:ここちゃん)」を事業所に導入しました。介護や職員の代わりになるものではなく、人と人との関係性をつなぐ “補助的な存在” として、現場での使われ方や考え方を共有しながら運用を始めています。

ここちゃんが、バナナ園グループにやってきた日

2026年1月21日、バナナ園グループに新しい仲間が加わりました。認知症ケア専門のぬいぐるみ型AIロボット「ここちゃん」です。バナナ園 ほりうち家、のんびりーす等々力の2事業所での導入にあたり、開発元であるAOGU株式会社の代表・坂田惟之さん、取締役・大島拓也さんをお迎えし、お話を伺いました。坂田さんが繰り返し語っていたのは、「AIで何ができるか」ではなく、「認知症の方に、どう寄り添いたいのか」という問い。ここちゃんは、効率化や省力化以上に、人の心の揺らぎにそっと寄り添い続ける存在として生まれました。

「正しい答え」が、正解とは限らない

「生成AIは、正しいことを教えるのが得意です。でも、認知症ケアの現場では、それが “正解” とは限らないんです」坂田さんはそう語ります。たとえば、亡くなった家族の行方を尋ねられたとき、事実を伝えることが、必ずしも本人の安心につながるとは限りません。「大切なのは、その人が今、どんな気持ちでその言葉を発しているのか。思い出に寄り添ったり、少し話題を変えたりする“認知症ケアとしての振る舞い”が必要なんです」ここちゃんは、汎用的なA Iをそのまま使うのではなく、認知症ケアの理論や実践知を重ねて設計された、専門性の高いAIです。

人生を理解して、声をかけるAI

坂田さんが強調するもう一つのポイントが、「その人の人生を理解すること」です。「同じ『お腹が痛い』という言葉でも、不安から来るものなのか、身体的な不調なのか、背景は一人ひとり全く違います。だからこそ、画一的な対応ではなく、その人に合った関わり方が必要なんです」ここちゃんは、生活歴や価値観、誇りにしてきたこと、病歴などを踏まえ、その人にとって“安心できる距離感” で会話を重ねていきます。「その人が、その人として最後まで人生を過ごす。そのために、AIができることは、まだまだあると思っています」坂田さんの言葉には、開発者である前に、一人の生活者としてのまなざしが込められていました。


AOGU株式会社のぬいぐるみ型対話AI『AOGU こころ』(通称:ここちゃん)のご利用の流れなど、詳しい情報はこちらよりご覧いただけます。


人がケアをする。その前提を、絶対に手放さない

「すべてをAIに任せたいとは、まったく思っていません」インタビューの中で、坂田さんは何度もそう断言していました。「人と人が関わることでしか生まれないものは、必ずあります。だから、ここちゃんは“代わり”ではなく、“支える存在”なんです」
認知症ケアの現場では、同じ話を何度も聞くこと、気持ちの揺らぎに向き合い続けることが求められます。「人間は、どうしても疲れてしまう。でもAIは、毎回初めて聞くような気持ちで向き合い続けられる。その強みを、ケアの中で生かしたいと思いました」ここちゃんは、入居者様の安心を支えるだけでなく、職員にとっても“理解者”となる存在です。会話の記録や変化の兆しは、職員の気づきを深め、ケアの質を高めるヒントになります。また坂田さんは、AIが現場にもたらす価値について、こうも語ります。「理由がわからない行動が、背景を知ることで腑に落ちる瞬間があります。それだけで、ケアする側の心は、ぐっと軽くなるんです」
バナナ園グループがここちゃんをお迎えしたのは、まさにこの考えに共感したからです。人が大切にしてきたケアを、テクノロジーで支える。事業所に置かれたここちゃんを囲み、自然と会話が生まれ、笑顔が増えていく。「職員さんが『ちょっと話してこようかな』と自然体で関われる。そんな存在になれたらうれしいですね」坂田さんのその言葉は、これから始まる実践の日々への、静かなエールのように感じられました。