BANANA NEWS 2026.7 vol.230 音楽療法 ✕ バナトレ
空の青色がひときわ眩しい季節となりましたが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。BANANA NEWS vol.230です!今号では、音楽療法とバナトレを融合させた新しい取り組みの特集です。
歌が身体を動かし、運動が笑顔を引き出す
2026年6月26日、のんびりーす等々力にて、音楽療法士の髙橋佐智代さんと、SP-Body パーソナルトレーナーの太田藍さんによる初めてのミニイベントが開催されました。「歌う」と「身体を動かす」。一見すると別々のプログラムであるこの二つを組み合わせることで、入居者様にさまざまな変化や反応が見られました。イベント終了後に行ったお二人へのインタビューでは、「ここまで効果が出るとは思わなかった」「さらに可能性を広げられる」と、今後への期待を語ってくださいました。認知症ケアの新たな可能性を感じる取り組み。その第一歩をご紹介します。
音楽療法士 髙橋佐智代さん
日本音楽療法学会認定音楽療法士
川崎、横浜、茅ヶ崎等の高齢者施設、宮前区の社会復帰相談事業(保健所デイケア) で、音楽療法士として活動中。風の楽校(発達支援)のミュージカル部門「音・遊ゆう」で音・音楽担当。作曲・作詞。ポップスのアーティストを中心に楽曲提供。
パーソナルトレーナー 太田藍さん
パーソナルトレーニングジムSP‒Body ディレクター
「月経コンディショニング」を考案。プロスポーツチーム、プロダンスチームをはじめ、川崎フロンターレSSガールズ、神奈川サッカー協会、川崎・横浜の学校、明治大学など、全国各地で講演を行っている。
まずは「体験」から始まった、新たな挑戦
イベントは、握力や立ち上がり動作、「パ・タ・カ」による口腔機能の測定からスタート。音楽療法が呼吸や記憶、感情に与える効果を学んだ後、「幸せなら手をたたこう」や「ふるさと」「仰げば尊し」「あめふり」など、誰もが口ずさめる懐かしい歌に合わせて、バナトレによる運動を交互に実施しました。さらに楽器演奏や腹圧トレーニング、立ち上がりエクササイズを取り入れ、最後には再び身体機能と口腔機能を測定。音楽と運動がもたらす相乗効果を” 体感”するとともに、その変化を” 見える化” する、実践と検証を兼ね備えた60 分となりました。
“1+1” ではなく、”10” になる組み合わせ
今回の最大の成果は、「音楽」と「運動」が互いの力を何倍にも高め合ったことでした。髙橋さんは、「歌いながら運動すると、普段より身体が自然に動いている。」と振り返ります。特に「ふるさと」「仰げば尊し」など、人生に寄り添ってきた馴染み深い歌を歌うことで、入居者様は青春時代の記憶や感情を自然と思い出し、緊張が解けると、驚くほど滑らかに身体を動かしていました。歌には安心感があり、リラックス効果があります。呼吸が整い、筋肉が柔らかくなり、自然と身体が動きやすくなる。そこへバナトレの姿勢・呼吸・腹圧を意識した運動が加わることで、身体機能だけでなく、笑顔や集中力まで大きく変化していきました。これは、音楽療法だけでも、運動療法だけでも見られなかった新しい反応でした。
専門家同士だから見えた、新しい発見
今回もっとも驚いたのは、指導する専門家自身が大きな発見を得たことです。太田さんは、「いつものバナトレより運動強度が自然に上がっていましたね。テンポが良くなることで身体がどんどん動き、有酸素運動としての効果も高まっていたと思います。」と振り返ります。一方、髙橋さんも「音楽だけでは見られなかった笑顔がたくさん見られました。」「集中力も全く違いましたね。」と、その変化に驚きを隠せませんでした。さらにお二人が一致したのは、『お互いの専門性には、共通する理論が数多く存在している』ということでした。音楽は記憶や感情へ働きかける。運動は身体へ働きかける。しかし実際には、その二つは切り離されたものではなく、音楽が身体を動かし、身体を動かすことでさらに感情が動く。まさに「心」と「身体」が同時に活性化していく時間となりました。これまで別々だった専門分野が融合することで、新しい認知症ケアの可能性が見えてきた瞬間でした。
11月20日、新しい認知症予防イベントへ
今回の実践はゴールではありません。スタートです。バナナ園グループでは、この成果をブラッシュアップし、多くの地域の皆さまに体験していただける大型イベント「運動と歌で認知症予防SHOW(名称仮)」を11月20日(金)に開催予定です。当日は、音楽療法と運動療法が一体となった新しい体験型の認知症予防プログラムをお届けする予定です。高齢者だけではありません。馴染みのある歌を活用した運動は、子どもから大人まで幅広い世代で活用できる可能性があり、地域全体の健康づくりにもつながると期待されています。介護は「支える」だけではない。介護は、新しい健康づくりを創ることができる。バナナ園グループは、これからも音楽療法、運動療法、そして多様な専門性を掛け合わせながら、認知症ケアの新しいスタンダードづくりに挑戦し続けます。音楽が人を笑顔にし、運動が未来を変える。その第一歩が、ここから始まります。
【予告】運動と歌で認知症予防SHOW(仮)
日 時 :2026 年11 月20 日(金)午後~
会 場 :川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
参加費 :無料
登壇者・出演者(予定)
心臓・血管外科医/ 南和友先生、音楽療法士/ 髙橋佐智代さん、パーソナルトレーナー/ 太田藍さん、アーティスト/ 奈月れいさん、三崎一平さん