介護施設に入るにはどうすればいい?入居条件から手続きの流れまで分かりやすく解説します
親御さんの体調の変化や、ご自身の生活との両立を考えたとき、「介護施設への入居」という選択肢が頭に浮かぶ方は少なくないでしょう。しかし、いざ考え始めると「何から手をつければいいの?」「どんな条件があるの?」「費用はどれくらいかかるの?」といった、たくさんの疑問や不安が出てくるものです。この記事では、そのような不安を抱えるあなたが、一歩ずつ着実に準備を進められるように、介護施設に入るための基本的な知識を分かりやすく解説していきます。
はじめに:介護施設への入居を考え始めたあなたへ
親の介護という大きな問題に直面し、情報収集を始めたあなたは、決して一人ではありません。多くの方が同じように、不安や戸惑いを感じながら、親にとって最善の道を探しています。介護施設の利用は、ご本人だけでなく、介護をするご家族にとっても、心身の負担を軽減し、より良い関係を築くための前向きな選択肢となり得ます。まずは全体像を把握し、一つひとつのステップを理解することから始めましょう。
介護施設に入るために満たすべき5つの条件とは?

条件1:要介護認定の状況を確認する
多くの介護施設では、入居条件として「要介護認定」を受けていることが求められます。 要介護認定とは、どのくらいの介護が必要かを客観的に示すための区分で、「要支援1・2」と「要介護1~5」の7段階に分かれています。 この認定があることで、介護保険サービスを利用できます。まだ認定を受けていない場合は、お住まいの市区町村の窓口や地域包括支援センターに申請することから始めましょう。
| 施設種別 | 主な入居対象の要介護度 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則、要介護3以上 |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上 |
| 介護付き有料老人ホーム | 施設により異なる(自立~要介護5) |
| グループホーム | 要支援2以上で認知症の診断がある方 |
条件2:入居対象となる年齢を把握する
介護保険サービスを利用できる施設は、原則として65歳以上の方が対象です。 ただし、がん末期や関節リウマチなど、国が定める16の「特定疾病」に該当する場合は、40歳から64歳までの方でも対象となります。 民間の施設の中には、60歳から入居できる施設もあり、施設ごとに年齢条件は異なりますので、事前に確認が必要です。
条件3:必要な医療的ケアに対応できるか調べる
たん吸引やインスリン注射、胃ろうといった医療的ケアが必要な場合、そのケアに対応できる施設を選ぶ必要があります。 施設には看護師の配置基準が定められていますが、24時間常駐しているか、どのような医療行為に対応可能かは施設によって大きく異なります。入居後に必要な医療ケアが受けられず退去とならないよう、ご本人の健康状態と必要なケアを正確に把握し、対応可能な施設かしっかり確認しましょう。
条件4:身元保証人や身元引受人を立てる
多くの施設では、入居契約時に「身元保証人」や「身元引受人」を求められます。 これは、月額利用料の連帯保証や、緊急時の連絡、入院や退去時の手続きなどを担ってもらうためです。一般的にはご家族やご親族がなることが多いですが、身寄りのない方などのために、保証人代行サービスを提供している民間企業やNPO法人もあります。
条件5:費用を支払い続けられるか計画を立てる
介護施設での生活は長期にわたるため、無理なく費用を支払い続けられるかしっかりとした資金計画が不可欠です。 施設にかかる費用は、入居時に支払う「入居一時金」と、毎月支払う「月額利用料」の2つが基本です。ご本人の年金や貯蓄、ご家族の援助などを踏まえ、長期的な視点で支払い可能な範囲の施設を選びましょう。
どんな施設がある?介護施設の種類とそれぞれの特徴
介護施設は、運営主体によって「公的施設」と「民間施設」に大きく分けられます。それぞれに特徴があり、費用やサービス内容も異なります。

費用を抑えたい方向けの公的施設
地方公共団体や社会福祉法人が運営する施設で、民間施設に比べて費用が安いのが特徴です。その分、入居希望者が多く、待機期間が長くなる傾向があります。
| 施設名 | 特徴 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 主に要介護3以上の方が対象で、終身にわたる介護を受けられる「終の棲家」としての役割を持ちます。 |
| 介護老人保健施設(老健) | 病院退院後、在宅復帰を目指すためのリハビリを中心に行う施設です。入居期間は原則3~6ヶ月です。 |
| 介護医療院 | 長期的な医療と介護の両方が必要な方向けの施設です。医師や看護師が常駐しています。 |
多様なニーズに対応できる民間施設
民間企業が運営しており、施設数が多く、入居一時金や月額利用料、サービス内容も多種多様です。比較的入居しやすく、選択肢が豊富なのがメリットです。
| 施設名 | 特徴 |
| 介護付き有料老人ホーム | 介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴などの介護サービスを提供します。要介護度が高い方でも安心して生活できます。 |
| 住宅型有料老人ホーム | 食事サービスや緊急時対応などの生活支援が中心です。介護が必要な場合は、外部の訪問介護サービスなどを個別に契約します。 |
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | バリアフリー対応の賃貸住宅で、安否確認や生活相談サービスが受けられます。比較的自立度の高い方向けです。 |
【7ステップで解説】介護施設への入居手続きの流れ

介護施設への入居は、情報収集から契約まで、いくつかのステップを踏んで進めていくのが一般的です。焦らず、一つひとつ着実に進めていきましょう。
ステップ1:希望条件を整理し情報収集する
まずは、ご本人やご家族が施設での生活に何を求めるのか、希望条件を整理することから始めます。 「立地」「費用」「医療ケア体制」「居室のタイプ」など、優先順位をつけておくと、施設を絞り込みやすくなります。希望がまとまったら、インターネットや地域包括支援センター、ケアマネジャーなどを通じて情報を集めましょう。
ステップ2:気になる施設を見学・相談する
資料だけでは分からない施設の雰囲気や、スタッフ、入居者の様子を知るために、必ず施設見学を行いましょう。 見学では、事前に質問したいことをリストアップしておくと、聞き漏らしを防げます。食事の時間に合わせて見学し、試食をさせてもらうのもおすすめです。
ステップ3:体験入居で実際の生活を確かめる
多くの有料老人ホームでは、数日から1週間程度の「体験入居」が可能です。 実際に宿泊することで、昼間だけでは分からない夜間の様子や、スタッフとの相性、他の入居者との関わりなどを肌で感じることができます。入居後のミスマッチを防ぐために、非常に有効なステップです。
ステップ4:入居を申し込み、必要書類を準備する
入居したい施設が決まったら、入居申込書を提出します。この時点では「仮申し込み」となり、居室を確保してもらえるのが一般的です。 同時に、施設から指示された必要書類の準備を進めます。主治医に作成を依頼する「診療情報提供書」や「健康診断書」など、取得に時間がかかるものもあるため、早めに手配しましょう。
ステップ5:施設スタッフとの面談を受ける
施設長やケアマネジャーなどのスタッフが、ご本人の心身の状態や生活歴、希望するケアなどについてヒアリングを行う面談が実施されます。 この面談は、施設側が適切なケアを提供できるか判断するための重要な機会です。ご本人の普段の様子や性格、してほしいこと・してほしくないことなどを正確に伝えましょう。
ステップ6:入居審査の結果を待つ
提出書類や面談の内容をもとに、施設側で入居審査が行われます。 ご本人の心身の状態が施設の受け入れ体制で対応可能か、集団生活に支障がないか、費用の支払い能力に問題はないか、といった点が総合的に判断されます。
ステップ7:契約内容をよく確認し、入居する
入居審査を通過したら、いよいよ本契約です。契約書の中でも特に「重要事項説明書」は、費用やサービス内容、解約条件など、非常に重要なことが記載されています。 不明な点や疑問点は必ずその場で確認し、すべてに納得した上で契約を進めましょう。契約が完了すれば、入居日を決定し、引越しの準備を始めます。
施設選びで後悔しないための3つのポイント
数多くの施設の中から、最適な一つを見つけるのは簡単なことではありません。後悔のない選択をするために、以下の3つのポイントを意識してください。
ポイント1:複数の施設を比較検討する
一つの施設だけを見て決めてしまうのは避けましょう。最低でも2~3ヶ所の施設を見学し、それぞれの良い点、気になる点を比較検討することが大切です。 比較することで、自分たちが本当に重視したいポイントが明確になり、より納得感のある選択ができます。
ポイント2:本人と家族の希望をすり合わせる
施設で生活するのはご本人です。ご家族の希望だけで話を進めるのではなく、必ずご本人の意思や希望を尊重しましょう。 もしご本人が入居に前向きでない場合は、なぜ嫌なのか、何に不安を感じているのかをじっくりと聞き、その不安を解消できるような施設を探すことが大切です。
ポイント3:専門家に相談することも視野に入れる
何から始めればいいか分からない、忙しくて情報収集の時間が取れない、という場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。地域包括支援センターやケアマネジャー、民間の老人ホーム紹介センターなど、介護のプロに相談することで、客観的なアドバイスをもらえたり、手続きをサポートしてもらえたりします。

まとめ:焦らず、最適な介護施設選びを進めましょう
介護施設への入居は、ご本人とご家族の今後の生活を左右する大きな決断です。だからこそ、焦って決めるのではなく、必要な情報を集め、一つひとつのステップを着実に踏んでいくことが何よりも重要です。この記事で紹介した内容を参考に、あなたと親御さんにとって最善の選択ができるよう、じっくりと準備を進めてください。