★矢野理事長の突撃インタビュー★<BANANA NEWS 2月号より>
Jリーグの試合や数々のイヴェントを通して川崎市民の皆さんに夢や感動を与えてくれる川崎フロンターレ、今回は高津区のクラブ事務所を訪ね社長の武田信平<㈱川崎フロンターレ代表取締役社長>さんに、お話を伺いました。
矢野:新年明けましておめでとうございます。サポーターとして常日頃から川崎フロンターレを応援しています。フロンターレもいまや川崎市では誰もが知っているチームになりました。早速ですがここまで市民に愛されるためにどのような施策・運営を行われてきたのでしょう。
武田:クラブ運営には「チームの強化と地域密着活動の両輪が必要」と私達は考えます。まずチームの強化は当たり前の話です。さて「地域密着」という課題なのですが、そもそもJリーグの理念で「地域への貢献」がミッションとして掲げられているのです。チームは、ホームタウンの皆さんに応援して頂かなければチームそのものが成り立たないのです。チーム強化と同時に、地域に「貢献活動」を通じて「密着」していく、それが地域の活性化になり、愛されるチーム作りに繋がる。そういう循環があってチーム自体も始めて成り立つのです。
矢野:これまでプロ野球のチームやJリーグのチーム<ヴェルディ>がこの町から撤退していきました。
武田:川崎市はもともと市民の帰属意識が薄い上に、「公害」「歓楽街」「ギャンブル」と言ったイメーシや、プロスポーツが育たない町と言われてきました。やはり市民が「住む町を誇りに思える」ようにしなくてはなりません。アイデンティティを形成していくにはシンボルが必要で私たちにはその一翼を担いたいと思っています。同時に対外的には「川崎市のシティセールス」も重要なミッションと考えています。
矢野:さて、それでは具体的にどのような地域密着活動・施策をされてきたのでしょうか?
武田:行政とのタイアップを含め活動は多岐にわたりますが、幾つかをご紹介しましょう。まず一つはフロンターレのコーチ達による市内小学校での体育授業でしょう、ここ数年子供達の運動能力が落ちてきていることを踏まえ、子供達に外で遊ぶことの楽しさを知ってもらいたいということで10年以上継続されている事業です。年間2万人以上の児童がフロンターレのコーチによる体育授業を受けています、今では市内の殆どの小学校をカヴァーするに至りました。特にサッカーを教えるワケではありませんが、今では小学校から体育の専門教師のいる中学校にも輪が広がってきています。
もう一つ、これはすっかり有名になりましたが小学校6年生向けの教材「算数ドリル」です。社員が海外研修<英国のクラブ>で仕入れてきたアイディアです。「やってみたい!」と川崎市の校長会に持っていったところ賛同を得ました。全てオリジナル編集で問題は中原区の上丸子小学校の先生方が作成してくださいました、ドリルには選手が登場、サッカーを問題に取り入れたりしています。先生方も苦労されたと思います。貢献活動というのは見返りや効果を期待したら駄目、やはり真摯に「貢献」という事を念頭におかないと、選手やスタッフにもそう言う意識が浸透しています。例えば、選手会では多摩川の清掃活動をやっている、選手達が行くのですが、これなんかは全くのボランティアです。
矢野: J1に昇格してからは、私達の地元、武蔵小杉や新丸子の街も賑やかになりました。
武田:活力のある街は賑わっていないと駄目ですね。そういう意味からすると等々力競技場に沢山の皆様に集まって頂く、等々力が賑わえば周辺の街も賑わう。今では駅前は試合のある日はサックスブルーのユニフォームで埋め尽くされますが、数年前まではそうではなかった、皆競技場で着替えをしていました。J1に昇格、強く誇りの持てるチームが賑わいを呼び、更に街に活力をもたらすという循環が生まれています。
矢野:さて、今期の展望ですが「今年こそタイトルを!」というのは市民、サポーターの願いです。
武田:先シーズンはリーグ5位、ナビスコ3位という成績、春先よりの主力選手のケガや猛暑時の過密スケジュールがありましたが、サポーターの皆さんにとっても、勿論チームにとっても満足のいく成績ではありませんでした。今シーズンは監督にJFL町田ゼルビアで監督をやられていた相馬君<相馬直樹:フランスワールドカップ日本代表>を呼びました、現役引退前の2年間はフロンターレに席を置いていました。今期は9人の補強をしました。監督も含めチームとしての若返りも出来ましたので心機一転、また今年はACLには出ませんので、あくまでリーグ戦に重きを置き、タイトルを狙っていきたいと考えています。
矢野:武田社長就任10年目と伺いました。今季こそは悲願、タイトル獲得が市民の願いです。宜しくお願いいたします。<敬称略>
武田社長とインタビュアーの矢野達郎<社会福祉法人ばなな会理事長/㈱アイ・ディ・エス常務取締役>「今年こそは何が何でもタイトルを、これが市民の願い」<矢野>「市民・サポーターの皆さんの応援がチームに力を与えます。応援も宜しくお願いいたします」<武田社長>