川崎市を中心にグループホームを展開するバナナ園グループでは、外部のプロと手を携えチームケアを行なっています。その取り組みの一環で、プロのフードコーディネーターである岩下美帆さんをお招きし、季節のフルコースランチをご提供する「口福の会」を年に数回開催しています。
今回は、食べることの楽しみや喜びを感じて頂くことを目的としたこのイベントの様子と開催した背景、入居者さまにもたらす効果についてお伝えしていきます。
フードコーディネーターと連携し、「口福の会」を開催
イベント開催の背景には、なかなか外食することのできない入居者さまに、美味しい料理を召し上がって頂き、喜びや幸せを感じてほしいという想いがありました。
食のスペシャリストであるフードコーディネーターの岩下美帆さんをお招きし、入居者さまが普段なかなか食べることのできないコース料理をご提供いただいています。
【岩下美帆さんの紹介】
料理上手なお母様の影響により、料理とおもてなしに興味を持ち、和食やフレンチの名店で修行を積む。その後、料理教室を開業し、メニューの開発から料理のサポート、企業や個人宅へケータリングサービスを行うなど活躍の場を広げています。
現在は、経営コンサルティング会社での経験を活かし、飲食店の新規プロデュースや病院食・子ども食堂などの社会的福祉活動にも積極的に力を入れています。
料理に込められた岩下さんの想いと工夫
この日のメニューは、夏バテ予防の栄養素を含む食材を使った中華のフルコース。
美味しいと感じてもらえる料理を提供するために、さまざまな工夫をしていただきました。
①四季を感じられる食材を取り入れる
「日本で暮らすからには、四季の移り変わりを感じて頂きたい」という岩下さんの想いから、献立にはその時々の旬の食材を取り入れています。風情を感じられるほか、最も適した季節に育つため、新鮮で栄養価が高く健康面にも良い作用が期待できると考えています。
②食べやすさの工夫
高齢期になると、だんだんと食が細くなり、飲み込む力が弱まってくるため、誤嚥を引き起こさないように、小さく柔らかくするなど、食べ物の形状や大きさに注意しながら、提供するように心がけてくださっています。また、消化器官に負担をかけないよう、冷たすぎず、熱すぎない適温で提供することもポイントです。
③色彩豊かな盛り付け
一つひとつ、岩下さんの手で丁寧に盛り付けらたお料理は、彩りがとても綺麗で、視覚からも楽しめます。入居者さまもお料理を見て笑顔になっていました!
《夏を乗り切る中華コース》
1.冷菜盛り合わせ
・蒸し鶏のネギソース
・しらす冷ややっこ
・きゅうりと桜エビの豆板醤和え
2.点心盛り合わせ
・椎茸シュウマイ
・焼き餃子
3.スープ
・トマトときくらげ、卵のスープ
4.メイン
・白身魚と夏野菜の黒酢あんかけ
・牛ひき肉と春雨の煮込み
5.ご飯
・白ごはんとザーサイ
6.デザート
・オーギョーチー(台湾レモンゼリー)
フルコースを囲んで非日常を楽しむ
コース料理を食べた入居者さまは、笑みをこぼし、「幸せだね」「美味しいね」と感動されていたご様子。メニューを見ながら、「これはどういう料理なの?」と入居者さま同士の会話もいつも以上に弾みます。
食材の色味(視覚)や焼きたての香り(嗅覚)、四季の味わい(味覚)、揚げたてのサクサク感(触覚)など五感を使って料理を楽しんで頂きました。
さらにこのイベントは、職員がコース料理を運び、おもてなしをする点も特徴の1つ。
職員も一丸となって特別感を演出するとともに、入居者さまの食べるスピードに合わせて料理を一品一品提供しました。
コース料理はボリュームがあるため、「大満足です」と職員に話す入居者さまも。
ほとんどの方が完食し、食後のデザートまで召し上がられていました。
非日常体験がもたらす認知症高齢者への効果
このような非日常の体験が、入居者さまにとっての喜びや幸せにつながり、ポジティブな感情を引き出すことができます。こういった感情は、ストレス軽減や、記憶力の活性化、認知機能の向上といった脳への良い効果も得られると言われています。
バナナ園グループでは、今回の口福の会以外にも入居者さまのQOL向上を目指し、機能改善を目的としたトレーニングや音楽で心身の健康を促進させる音楽療法、育てる喜びを感じて頂く園芸療法などさまざまな取り組みを行なっています。
このような取り組みを通して、私たちは入居者の皆さんが自分らしくより良い生活が送れるよう、今後も寄り添ったサポートを行なっていきます。
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