バナナ園グループでは、1年間で6名の認知症入居者さまの介護度を改善することに成功しました。介護の現場において「介護度を下げる」というのは非常に難しく、特に進行性の認知症患者にとっては、介護度を維持することさえも困難とされています。このような中で、今回の成果に大きく貢献したのが、バナナ園グループ独自のパーソナルトレーニングプログラム「バナトレ」です。バナトレが効果を発揮できた背景には、このプログラムを共働開発したSP-Bodyの高いトレーニング技術と医学的知識、そして一人ひとりに対するきめ細やかな対応があったからだと考えています。この記事では、SP-Body代表の小林さんのインタビューを通して、成果の核心に迫ります。

「整え、鍛える」SP-Bodyのアプローチ

SP-Bodyは、武蔵小杉・新丸子にあるパーソナルトレーニングジムで、医学的アプローチを基に「整え、鍛える」ことをコンセプトに掲げています。トレーニングの前に必ずコンディショニングの時間を設け、トレーナーが手技を用いて関節を調整し筋肉を動かすことによって骨格を本来の位置に整え 、その後のトレーニング効果を最大化し、個々に合わせたプログラムを提供しています。
SP-Bodyのお客さまにお話を伺うと、
「ボディメイク目的で通い始めたが、日常生活での疲労感が軽減された」
「ダイエットに成功した上に、趣味のゴルフで身体の可動域が変わり、動きやすさも実感した」
「乳がんの術後に体力を取り戻すために始めたが、病気の前よりも心身ともに良好となった」
といったお話が聞けました。元々はダイエットやボディメイクが目的だったお客さまも、皆さん口を揃えて「ここに来ないと身体が調子悪くなるから続けている」と述べているのが特徴的でした。

この成果を実現できているのは、トレーナーの技術の高さと、機能解剖学の知識の豊富さにあります。SP-Body代表の小林さんは、介護とトレーニングの共通点について、「重りを持ってトレーニングする時、正しい方法で関節を動かさないと壊れてしまう。それは日常生活でも同じで、重力に対抗して体を正しく動かすことが重要。だから介護もトレーニングも、人体の構造や動きについて深く理解し、整えてあげることが大切なんです」と話しています。この考え方が、SP-Bodyのトレーニングプログラムや、バナトレにも反映されているのです。

介護にも必要不可欠な月経コンディショニング

SP-Bodyは、トレーニングジムとしての活動にとどまらず、日本精工女子ソフトボール部などのプロアスリートのトレーニング指導や、女性の月経周期を考慮したコンディショニングサポートも行っています。この「月経コンディショニング」は、SP-Bodyの太田さんが解剖学と生理学に基づいて開発したもので、商標も取得しています。さらに、川崎フロンターレSSガールズなどの女性アスリートに対して、月経に関する正しい知識や適切な運動方法を伝える活動も展開しています。

バナトレにもこの「月経コンディショニング」を導入し、骨盤底筋群を強化することで、尿意、尿漏れ、骨盤臓器脱を予防する運動を提供しています。小林さんは「臓器脱の問題は女性だけでなく男性にも起こりうるもの。世間であまり問題視されていないのが不思議です」と述べています。実際、男性でも肛門や尿道から臓器が出てくることがあり、それが進行するとオムツの使用が避けられなくなる可能性があると指摘しています。こうした問題を予防するためにも、介護の現場で月経コンディショニングのような専門的なトレーニングの導入が不可欠だと考えております。

信頼が鍵。バナトレが生んだ認知症ケアの成果

バナトレが成功した理由について、小林さんは、「入居者の方々が、その気になってくれたんだなって思いました。」と話します。認知症の方に対するトレーニングアプローチは、特別に変えるわけではありません。認知症の方であれ、立てなくなってしまった方であれ、どこかで、“健康になりたい”という気持ちは誰もが持っています。それを“その気”に変えることができたのは、何よりも信頼関係を気づくことができたからだと、小林さんは考えています。 「特に認知症の方は、その時々の記憶しか残らないことが多く、週に1度の訪問でも我々を覚えていないこともあります。訪れる度に強く視線を感じたり人間性を見られているのを実感するんです。だからこそ、嘘偽りないコニュニケーションが求められる。今では、トレーニングが楽しいという感情記憶が蓄積されたのか、すごく前向きに取り組んでくださり、それが結果として出ているんだと思います。」

また、小林先生はバナナ園グループについて「正直、介護施設に対して、閉鎖的で暗く臭いといったマイナスイメージを持っていたので、バナナ園グループの職員の方々がつくる明るく暖かで、かつ綺麗な環境に驚きました。もし自分が認知症になったら、バナナ園に入りたいと本気で思うくらいです」と言い、職員たちが入居者さまと常日頃から真摯に向き合い、信頼関係を築いているからこそ、しっかりと効果が出ていると感じると話してくれました。

「新しい介護」を追求し続けるバナナ園グループ

バナナ園グループは、SP-Bodyのようなプロとの連携により、入居者さまの介護度を下げることを実現いたしました。立てなくなった方が再び立てるようになったり、紙パンツから綿パンツに戻すことを実現できたり、自分でできることが増え前向きになったりと素晴らしい効果を目の当たりにしています。この効果は、バナトレだけでなく、バナナ園グループで行っている音楽療法や狂言教室など、他の健康増進プログラムとの相乗効果によるものだと考えています。今後もこれらの取り組みを続けることで、介護施設のイメージを刷新し、より多くの方々に「新しい介護」の可能性を広げたいと考えています。

最後に、小林さんは「パーソナルトレーニングや月経コンディショニングといった専門的なアプローチが、介護の現場で広がることで、入居者さまの生活の質がさらに向上する。これがきっかけで、他の施設にも広がっていけば、介護業界全体がより良い方向に進むはずです」と述べています。SP-Bodyとバナナ園グループのパートナーシップは、これからも入居者さまの健康と幸福を支えるために進化し続けます。

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