初夏の日差しに青葉輝く清々しい季節となりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。BANANA NEWS vol.223です!今号では、“入居者様が就労する”という新たな取り組みについて特集いたします。

TOPIC

・新たな介護の形…のんびりーす等々力にご入居されている押田様の「生きがい」を支える
・「月経コンディショニング」研修を全職員対象に実施 ~ 介護業界の新スタンダードへ ~

就労機会の創出「生きがい」を支える 新たな介護の形

バナナ園グループでは、入居者様が「生きがい」や「やりがい」を持ち続けながら、その人らしく暮らせる介護の一環として、「就労機会を提供する」新たな取り組みを始めました。今回はその背景をご紹介いたします。

「生きがいを育む」バナナ園グループの介護の考え方

認知症を発症すると、新しい環境に慣れるまで時間がかかり、生活意欲が低下しがちです。入居後も「自分らしく生きる」環境づくりが重要です。バナナ園グループでは、本人の意思を尊重し、一人ひとりに寄り添うケアを心がけています。そして日常生活の中で自然に役割を持ち、自分にできることを見つけられる環境を整えるなかで、入居者様の生きがいをより前向きに支えることができないかと考えました。こうして誕生したのが今回の“就労支援”という新たな取り組みです。その第一歩を踏み出したのが、「のんびりーす等々力」に入居している押田忠義様でした。

無気力な日々から、笑顔あふれる毎日へ

入居当初は新しい環境に戸惑い、人との関わりを避けていた押田様。職員は無理に関わろうとはせず、徐々にリビングで過ごす時間を増やしたり、運動療法「バナトレ」や音楽療法に参加してもらう機会を設けました。そんな中大きな転機となったのは、新たな入居者様が加わったことでした。「その方のお手伝いをするうちに、“自分にもできることがある”“力になりたい”という思いが芽生えたようです」と語るのは管理者の栗山さん。それを機に押田様は人の輪に加わり、まるでリーダーのように周囲を盛り上げるようになりました。そして意欲の高まりとともに身体機能も向上し、歩行が安定して階段の昇降も可能に。排泄面でもリハビリパンツから綿パンツへと移行し、介護度も二段階改善するまでに回復しました。「役割を持つこと」が、生活に大きな変化をもたらしたのです。

働くことで得られる生きがい

押田様の変化を見守る中で、“就労支援”という新たな取り組みが生まれました。通常、介護施設で入居者様に仕事をお願いすることは稀ですが、本人の想いを尊重し、就労を暮らしの一部として形にすることで、生活の充実につながると考えました。押田様はケアアシスタントとして、週4 日・1 日1 時間、責任をもって業務を担当。手すりの清掃や、排泄時に使用する新聞紙の折りたたみなど、介護現場に欠かせない大切な業務を担っています。この業務を「自分の役割」として受け止め、自信にもつながっており、職員とともに体調や安全面に配慮しながら無理のない範囲で継続しています。

就労支援を通じて見えた“新しい介護の形”

働くことで、押田様の生活は「介護を受ける場」から「役割を持ち、生き生きと過ごす場」へと変化しています。介護現場では「支援」に意識が向きがちですが、「生きがい」に重きを置くことで、介護の可能性はさらに広がります。バナナ園グループは、入居者様が“自分らしく生きること”を支える「生きがいのある介護」を今後も追求していきます。