お待たせいたしました。今年最後のBANANA NEWS 216号が完成です。
今号は、大学と協働で「回想法」に役立つ文庫づくりを特集します。
どうぞご覧ください!

TOPIC

のんびりーす等々力に、沖縄国際大学の司書課程の学生が図書館文化セミナーで取り組んだ、認知症の人にやさしい『太陽と森とことりの文庫』を設置!本だけでないこの文庫の魅力とは?
きっかけは同大学の卒業生であり、バナナ園グループに勤める介護福祉士の仲田ひな子さん!
実習に参加した学生の皆さんの感想&取材の様子

沖縄国際大学&アイ・ディ・エス〜高齢化社会における図書館の役割プロジェクト〜
高齢者介護施設に文庫を設置

 バナナ園グループでは、沖縄国際大学図書館文化セミナーとの協働により、認知症の進行を緩やかにする取り組みを行っています。11月27日の授業では、ゼミを担当する山口真也教授と学生が、「のんびりーす等々力」へ来訪し、文庫コーナーを設置しました。

司書課程の学生たちが「認知症の方にやさしい文庫づくり」の実習に挑戦!

 沖縄国際大学の日本文化学科で図書館情報学を学んでいる学生たちが、司書課程の科目として9月末から取り組んでいる、「認知症の人にやさしい文庫づくり」プロジェクト。きっかけは、バナナ園グループの介護福祉士である仲田ひな子さんが、同大学の図書館情報学を学んだ卒業生で、図書館長の山口教授に「認知症の予防や進行抑制に、図書館が持つ機能を活かせないか」と相談したことでした。グループホームの中に、認知症の進行抑制にもつながる「回想法」に役立つ文庫コーナーを設置しよう、という取り組みで、全16回のゼミを行うこととなりました。

学生たちが考えた文庫コーナーの名称は『太陽と森とことりの文庫』

 学生たちが考えた文庫コーナーの名称は『太陽と森とことりの文庫』。陽の差し込む森で小鳥の声を聞くようなイメージを、沖縄の豊かな自然とリンクさせ、自然のような豊かな知識や気持ちを思い出してほしいという願いを込めて、親しみやすい名前になるよう名づけられました。文庫に並ぶのは書籍だけでなく、映像・音楽ソフトやパズルもあり、入居者様の好奇心を喚起させ、新しい冒険の世界に飛び込んでほしいという願いが込められており、職員や家族と一緒に笑顔で楽しめるような空間にもなってほしいと考えてくださったそうです。
 この日は受講生を代表して10名が現地実習に参加し、3つのチームに分かれて、ブックラックの組み立て、コーナーのサインパネルの作成、書籍やDVD・CD等のジャンル分けと蔵書印等の準備を行いました。そして、今回現地に来られなかった学生も、のんびりーす等々力とパソコンの画面を通じて文庫づくりの様子を視聴。アドバイスしたり、文庫の利用状況を把握するためのアンケートの検討などを同時に行いました。

現地での実習に参加した学生のみなさんの感想をご紹介します

自分とは世代が違う高齢者の方に向けて本を選ぶという体験で、難しさを感じつつも、司書の仕事の面白さとやりがいを感じることができました。
園芸療法を取り入れたレタスの水耕栽培を入居者の方が楽しみにされていると聞いて、私たちが作った文庫コーナーもそうした楽しみの一つになるといいなと思いました。
スタッフの皆さんが日々、認知症予防に真摯に取り組まれていること、そして、大学生として研究面でも大いに期待されていることを感じました。
文庫づくりの最中に入居者の方が声をかけてくださり、私たちが集めた本を興味深そうに遠くから眺めている様子をみて、とてもうれしかったです。沖縄からやってきた私たちをあたたかく迎えてくださり、本当にありがとうございました。
試行錯誤の連続でしたが、完成してみると素敵に仕上がったので、今は達成感でいっぱいです。今回の体験を通して、高齢化社会の中で司書として求められる力が少し身に付いたように思います。

 設置した文庫コーナーは、12~1月上旬にかけてモニタリングして評価をまとめ、その成果報告が1月下旬に沖縄国際大学で行われます。ぜひ、のんびりーす等々力に設置された『太陽と森とことりの文庫』を見にいらしてください。