バナナ園グループでは、川崎市を中心に展開するグループホーム10カ所の介護施設で水耕栽培装置を導入しています。この試みは、施設の日常を豊かにするだけでなく、認知症を抱える入居者さまの健康維持や地域との繋がりにも貢献しています。
この記事では実際の収穫の様子や、水耕栽培を通じたバナナ園グループのケアの取り組みについてお届けします。

環境に優しく、手軽に始められる水耕栽培

バナナ園グループでは、コロナ禍による外出制限の影響で入居者さまの外出が難しくなり、身体の動きが不自由な入居者さまも多いことから、施設内で楽しめる活動を模索してきました。農業活動に従事することで健康を維持する「農福連携」や「園芸療法」にも注目し、介護の現場に取り入れる方法を探しています。

その中で、プランツラボラトリー株式会社と東京大学の共同開発である、小型でありながら効率的な栽培が可能な水耕栽培装置の導入を決定しました。場所を選ばず、天候にも左右されず、農薬も不要。水の循環のみで育てられる手軽さと、サステナブルにも配慮した設計が特長です。
初めは試験的に2つのグループホームに設置され、今ではバナナ園グループすべての施設に設置。入居者さまに植え付けや収穫を手伝っていただきながら、施設内で葉レタスを育てています。

自分で育て、味わう喜び

植え付けから約1ヶ月、成長したレタスの収穫を職員と入居者さま全員で行いました。葉レタスは玉のレタスよりも栄養豊富で「新鮮で香りが強く、シャキシャキしていて非常においしい」と好評です。
バナナ園グループでは、認知症の進行を穏やかにする目的も含め、入居者さま一人ひとりが出来ることをなるべくご自身で行っていただくことを心がけています。補助が必要な時に職員がサポートしながら、「なかなか上手でしょ」と笑顔で収穫する様子が見られました。自分で育て、毎日成長を見守っているからこその喜びと達成感を提供できていると感じます。

収穫したレタスは、バナナや牛乳と混ぜてフレッシュスムージーに。無農薬かつ、採れたての野菜は栄養満点で、入居者さまの健康維持にも役立てています。共に育てた野菜を収穫し、共有することで、笑顔や会話が生まれ、心の健康にも良い影響を与えています。

入居者さまの健康と地域とのつながり

水耕栽培装置の導入から約1年が経ち、介護施設への導入は入居者さまの生活に多くのメリットがあると感じています。
日々近くで野菜の成長を見守ることで、入居者さま同士や職員とのコミュニケーションが活発になり、以前にも増して笑顔が溢れていると感じています。また、野菜の成長を観察するために歩いたり、収穫作業を行ったりすることは、入居者さまの身体活動を促し、筋力の維持に役立っています。特に認知症を抱える高齢者にとっては、日々の積極的な活動がADL(日常生活動作)の維持や向上につながり、自立支援に貢献しています。

さらに、収穫したレタスは近隣にお住まいの地域の方や、施設を訪れる方へのお裾分けにも使われ、地域社会とのつながりを深めています。このように、水耕栽培装置の導入は、入居者さまの健康を促進するだけでなく、介護施設の質を向上させ、地域社会とのつながりを強化しています。

バナナ園グループのケアの取り組み

バナナ園グループは入居者さまに「楽しんでいただきたい」「笑顔でいてほしい」という想いが強く、その人らしく生活を継続できるよう最良の福祉サ-ビスを常に提供し続けます。水耕栽培を取り入れたことで、入居者さまが喜ぶ姿を見られることは、職員としても日々嬉しく感じています。
水耕栽培と認知症ケアの組み合わせは新しい分野であり、これからまだ可能性が広がっていくと考えています。我々は、川崎から始めたこの取り組みが介護業界全体へと広がり、全体のケアの質が向上することを願っています。
バナナ園グループは、今後も入居者さま一人ひとりの生活の質を高め、笑顔で過ごしていただけるよう、介護の新たな可能性を追求していきます。

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