バナナ園グループでは、独自のパーソナルトレーニング「バナトレ」の効果を最大限に発揮するため、全職員対象の「バナトレ研修」を定期的に実施しています。今回の記事では、研修内容のご紹介を通してバナトレが効果を発揮している理由についてお伝えします。

運動指導のプロフェッショナル集団SP-Bodyとのチームケア

バナナ園グループでは、2023年1月から高齢者向けパーソナルトレーニング「バナトレ」を導入しています。このバナトレは、新丸子に店舗を構えるパーソナルトレーニングジムSP-Bodyと共同開発しました。SP-Bodyは、ダイエット目的やボディメイクをしたい一般の人、野球選手などのアスリート、子供から高齢者まで、幅広い方々のパーソナルトレーニングを行なっています。

SP-Bodyの強みのひとつ は、機能解剖学に基づいた手技でお客様の骨格を本来の位置に戻し、身体を整える「コンディショニング」をしてからトレーニングを行なっていること。先にコンディショニングをすることで、筋肉がスムーズに動き、パフォーマンスの向上とトレーニング効果を最大化させます。トレーナーの皆さんは、このコンディショニングの際にお客さまの身体の状態を把握し、一人ひとりに合わせたトレーニングプログラムを提案しています。
私たちは、このような身体の知識の豊富なプロフェッショナル集団と共にチームケアを行い、入居者さまのADL(日常生活動作)向上と介護度改善に取り組んでいます。

【研修内容】身体のプロから学ぶ、機能解剖学

今回の研修は、SP-Bodyトレーナーの茂木さんをお招きし、非常勤職員に対して実施。バナトレを行う上で、職員の方にも「身体の正しい知識を身につけてほしい」と機能解剖学についての講義からスタートしました。
機能解剖学とは、骨や筋肉、関節といった身体の各部位の構造と、それらが運動する際にどのように機能するか研究する学問のこと。「身体についての正しい理解を深めることで、入居者さま一人ひとりに合わせた適切なサポートが可能になる」と話す茂木さん。

バナトレのトレーニングメニューには、身体の動きの中で最も重要な「脊柱」にアプローチしたプログラムが組まれています。脊柱は身体の軸となり、頭部、胸部、腹部、骨盤を支える役割を担っており、正しく動かすことで立つ、座る、歩くなどの日常的な動作が可能になります。
私たちは、身体のプロから、身体の仕組みと運動の関係性について学ぶことで、入居者さまの健康維持と運動能力の向上に役立てています。

【研修内容】バナトレによる入居者さまの成果の共有

全事業所にバナトレを導入して一年が経ち、その成果についても茂木さんから職員に報告して頂きました。茂木さんから見ても、入居者さまの変化は著しいとのこと。
1年前の歩行の様子と見比べると、多くの方の歩行スピードが速くなっていることが見受けられました。これは、足が上がるようになったことで、スムーズに足が前に出るようになり、歩き方に安定感が出ている結果。また、「歩行の際に腕が振れている様子を見ると、脊柱も正しく動かせている」とトレーナー視点からのご意見も頂きました。
他にも、背筋や膝が伸び、立ち姿勢が善くなっている方や片脚立ちができるようになった方など多くの変化が見られています。

SP-Bodyの皆さんには、週に一度施設に来ていただき、バナトレを行なっていただいておりますが、それ以外の時間にもトレーニングを取り入れられるようにと考案されたのが「ふるさと体操」です。
ふるさと体操は、入居者さまに馴染みのある「ふるさと」の曲を流しながら、音楽に合わせて楽しく身体を動かすプログラム。動きの中には、脊柱にアプローチした動作も組み込まれており、日常的にふるさと体操を取り入れたことで良い結果に結びついたと考えています。「高齢者の方々は、筋力を維持することも大変な中で、しっかりと結果に表れているのは本当にすごいこと」と茂木さんからもフィードバックをいただけたことで、職員のやる気とモチベーションに繋がったと感じています。

【研修内容】サポート技術を習得し、介護の質を上げる

続いて、バナトレ時に行う入居者さまのサポート方法について指導いただき、職員同士で実践練習を行いました。
①立ち上がり動作について
座っている状態から立ち上がる際の足の位置と身体の傾き(重心)が適切か確認を行い、入居者さまと近い距離で支える。入居者さまは、思ったよりも手を力強く引くこともあるため、職員が腰を痛めてしまうリスクも考えられます。そのため、近い距離で、しっかりと支えることがポイントです。

②足関節(足首・すね・ふくらはぎ)を動かすトレーニングについて
足首、すね、ふくらはぎをサポートする際は、手技で行うことが非常に重要。足首やふくらはぎのストレッチは、筋肉と関節の柔軟性を向上させ、可動域を広げる効果があります。可動域が広がると、怪我のリスクが低減し、運動能力の向上に繋がります。
声掛けだけで足を動かすことは難しいため、筋力のある方には少し負荷をかけ、足を動かしにくい方には、よく揉みほぐし血流を良くすることで、足を動かしやすくする工夫が必要です。

実際に体験したことで、入居者さまにサポートを行う際の距離感や負荷のかけ具合などイメージが湧いたと感じています。しかし、入居者さまの中には、身体の動きが良くなったことで、もっと頑張りたいと一人で無理をしてしまう方や服用している薬の影響でふらつきを起こしてしまう方もいるため、「このようなリスクがあることを頭に入れて、適切なサポートを行なってほしい」と転倒のリスクについても指導いただきました。

知識と技術のアップデートを繰り返して、機能改善を最大化する

バナナ園グループでは、プロのパーソナルトレーナーから機能解剖学に基づく身体の仕組みトレーニングのサポート方法を学ぶ、質の高い研修を3ヶ月に1度実施しています。研修で身につけた知識と技術を、普段の介護に取り入れることで、身体機能改善の成果に表れています。

この成果は、川崎市が開催している「かわさき健幸福寿プロジェクト」で金賞受賞という評価にも繋がっていると考えています。

今後もこの研修と実践を繰り返すことで、全職員が知識とスキルのアップデートを常に行い、入居者さまの介護度改善と介護の質向上に努めてまいります。

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