2024年現在、世界でも有数の高齢化(65歳以上)社会である日本。その進行スピードはさらに加速すると言われています。 さまざまな課題が挙げられる中で特に重要だと言われているのが、高齢者の健康と身体能力の改善。認知症高齢者向けの介護施設を運営しているバナナ園グループも、パーソナルトレーナーとパートナーシップを組みながら、この社会課題への貢献につなげていきたいと考えています。

入居者さまの身体機能改善を実現した「バナトレ」の取り組み

バナナ園グループでは、パーソナルトレーニングジム:SP-Bodyと共働開発をしたトレーニングメニュー「バナトレ」を取り入れています。SP-Bodyのトレーナーは機能解剖学にも精通しており、骨や筋肉、関節などの身体の構造を熟知した機能改善のプロフェッショナル。身体を正しく動かすために最も重要な「脊柱」にアプローチしたトレーニングメニューを実施して、多くの入居者さまの介護度改善を実現してきました。

バナトレを導入してから1年以上が経過しましたが、多くの方の歩行スピードが速くなっていたり、背筋や膝が伸びて立ち姿勢が改善されたり、中には片脚立ちができるようになった方もいらっしゃいます。痛みの改善や億劫だった行動も自ら積極的に起こすようになり、心も晴れやかに。身体のプロフェッショナルであるパーソナルトレーナーとの取り組みが、高齢者の生活を豊かにできることを実感しています。

隠れた社会課題と、フェムケアの重要性

社会課題としてはあまり取り上げられない高齢者の問題として、骨盤付近の臓器が体外に出てしまう骨盤臓器脱の発症があります。デリケートな部分の症状なので認知度は低いですが、80歳以上の女性の発症率は50%とも言われています。骨盤臓器脱を引き起こす原因は、骨盤底筋群の弱体化。臓器脱の他にも尿漏れ、慢性的な骨盤痛などさまざまな症状を引き起こしてしまい、高齢者の活動低下につながっています。バナトレには、この骨盤底筋群の強化をする「フェムケア」もプログラムに組まれており、高齢者の活動量の向上に貢献しています。このフェムケアを含めたプログラムは、SP-Bodyの太田さん(パーソナルトレーナー)が独自に考案したメニューになります。

川崎市が主催する、チームケアによる介護サービスの成果を評価する「かわさき健幸福寿プロジェクト」第8期では、入居者さまの要介護度・ADL(日常生活動作)の改善が認められ、5事業所で金賞を獲得。目に見える身体の動きを改善するだけではなく、トレーナーとともに、高齢者の多くの方が抱える問題に目を向けられたからこそ、第三者機関からの外部評価認定も獲得できたと考えています。バナトレは授賞式当日の「神奈川新聞」(かながわワイド)」でも大きく取り上げられ、福田川崎市長からも称賛を受けました。

より多くの人の未来に貢献する、トレーニングトレーナーとのパートナーシップ

このまま高齢化社会が進行すると、フレイルに陥る方が増える可能性があります。フレイルとは、年齢を重ねることで筋力や体力、認知機能が低下し、病気や外的ストレスに対して抵抗力が弱くなる状態のこと。この問題は認知症の方だけではなく、すべての高齢者が対象。健康や身体機能の向上は日本社会全体の課題解決において非常に重要な要素となっています。

バナナ園グループが実施しているバナトレは、1人ひとりの身体の状態に合わせたパーソナルトレーニングのメニューとなっており、すべての高齢者にとって効果を発揮します。
バナトレを全国に広げていくことが、より多くの高齢者の方の生活を豊かにする。
これこそが高齢化の課題に向き合うことであり、社会貢献につながることだと考えています。 そのためにも、私たちは身体のプロフェッショナルであるパーソナルトレーナーとのパートナーシップをもっと広げていくことを目指しています。

外部のプロフェッショナルとのチームケアで、日本社会への貢献を目指す

バナナ園グループは、SP-Body以外にも、さまざまな業界のプロフェッショナルとパートナーシップを組んでいます。 記憶や感情を刺激する「音楽療法」や、味覚や嗅覚の五感で幸せを感じてもらう「口福の会」、本物の芸術や文化に触れる「狂言教室」など、身体機能以外の側面からも入居者さまのQOL向上を目指しています。

グループスタッフや職員たちだけでは実現することのできない、外部のプロフェッショナルと一緒に挑戦していくこうした取り組みが、認知症の入居者さまだけではなく、より多くの高齢者の生活をさらに豊かにすることにつながっていくと信じて、日々の業務を行なっています。

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