川崎市中原区にあるのんびりーす等々力に、筑波大学附属坂戸高校の生徒さん2名が来訪され、チームケアの一環であるSP-Bodyの太田藍さんによる「バナトレ」を体験いただきました。介護ホームは、施設内で過ごす時間が長く、外部との交流が希薄になりやすいため、今回のような外部の方々との連携を大切にしています。 本記事では、バナトレ体験や生徒さんのインタビューを通して介護業界を理解してもらうことの大切さについてお伝えします。

高校生が体験する、バナナ園のトレーニングプログラム「バナトレ体験」

今回、筑波大学附属坂戸高校「生理用品×学校」の団体に所属する生徒さんが来訪されました。「生理用品×学校」は、生理に関する不安や悩みを解決したいという思いから結成された団体で、自主的にワークショップを開催し、生理の理解を深め広める活動を行っています。
「月経コンディショニング」考案者の太田藍さんもワークショップに登壇され、生理の基礎知識やナプキンの吸水実験を通して年齢・性別に関係なくフェムケアが重要であることを伝えました。このワークショップをきっかけに高齢者向けの月経コンディショニングに興味を持った2名の生徒さんによるバナナ園グループ来訪が実現しました。

バナトレ体験は、生徒さんの自己紹介からスタート。最初は少し緊張していたお二人でしたが、入居者の皆さんと一緒に身体を動かすうちに、次第にリラックスしていく様子が見られました。入居者さまのサポートにも挑戦していただき、立ち上がりや足上げの手助けをしながら、交流を楽しんでいただきました。短い時間でしたが、バナトレを通して最後には入居者さまと心の距離が縮まっているように感じられました。

介護業界の認識・理解促進の大切さ

バナトレ体験後、お二人にインタビューを行い、参加の理由や感想についてお話を伺いました。

――今回参加された理由を教えてください。

>生徒Aさん
高齢者の方々と接する機会がほとんどなかったため、介護施設のことはまったく知らない世界でした。情報源は、テレビやネットなどのメディアを通して知るしかなく、実際にコミュニケーションを取らないと分からないと思い、今回の参加を決めました。

>生徒Bさん
家族が介護業界に携わっているので、身近に感じていましたが、実際に施設に来たことがなく取り組みの内容も知らなかったので興味があり参加しました。

――実際にバナトレを体験してみてどうでしたか?

>生徒Aさん
入居者さまに声をかける様子や、トレーニングの明るい雰囲気作りなど、現場の様子を知れて良かったです。高齢者の方々と交流できたのも楽しかったです。

>生徒Bさん
車椅子を利用していた方が、バナトレを始めたことで立てるようになった話を聞いて、高齢者でも成長を続けられる姿に感動し、元気をもらいました。私は祖父と同居しているため、年を重ねるにつれて身体の動きが鈍くなるのを感じ、不安に思っていましたが、今回の施設訪問でその不安を払拭できるような話を聞けて良かったです。

お二人とも「実際に来るまで介護業界についてよく知らなかった」という点が印象的でした。バナナ園グループに来て、施設内を見学し、入居者さまと直接交流することで、介護業界への理解を深めていただけたと考えています。社会における介護業界の認識・理解の促進は以前から言われている課題ではありましたが、お二人の感想を伺って改めて現状を変えていく必要があると私たちも感じました。

可能性を切り開いていく、バナナ園グループの取り組み

今回来訪いただいた生徒さんのように、「体験したことがないから、わからない」といった声は、バナナ園グループだけではなく介護業界全体を通じてよく耳にします。施設の清潔さや、入居者さまとの交流、イベントを実際に体験し理解していただくと、来訪前と後で印象が変わる方が多くいらっしゃいます。世界的な感染症の蔓延によりコミュニケーションの機会が閉ざされた期間が3年以上続きました。外部の方を施設側から招き入れる機会を増やすことは、地域交流を活性化し、人々がコミュニケーションを取り、介護業界を知ってもらう機会を活発に創造することに繋がります。

施設内の状況をお伝えし、外部の方のご理解を広げていくことが、業界全体のイメージアップに繋がると考えています。少子高齢化が進む日本において介護施設の理解を深めていくことは社会全体の課題であり、介護業界をより開かれたものにしていくことは不可欠です。そのためには、透明性を高め、外部との交流や情報発信を積極的に行なっていくことが大切だと考えています。

バナナ園グループでは、地域の方々を施設に招いて取り組みを知っていただく広報イベントや、川崎市で開催されている「かわさき健幸福寿プロジェクト」への参加など、積極的に外部との交流を行なっています。また、音楽療法士、パーソナルトレーナー、フードコーディネーター、狂言師など、介護業界以外の専門知識を持つ方々と連携しチームケアを導入することで、介護業界全体の透明性向上と開かれた環境づくりを目指しています。

“つながり”の一つひとつが、介護の未来を変えていく

今回は坂戸高校の皆さんとのバナトレ体験を通じて、介護業界を理解してもらうことの大切さについてお伝えしました。「生理用品×学校」の皆さんも外部との積極的な交流を行い、自身の活動の認知を広めていくことを実践されています。埼玉県で開催されたSDGsに基づく社会課題解決コンテスト「SDGs Questみらい甲子園」で金賞も受賞されました。
今回、太田藍さんをきっかけに若年層との交流が実現しましたが、私たちも取り組みや活動を積極的に広く伝えていくことで、介護業界の認知や正しい理解、イメージ向上につながることを目指します。未来の日本社会においても、介護施設を必要とする方とそのご家族さまのためにもいち早く実現したいと考えています。

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