2024年11月12日(火)、バナナ園グループは川崎市幸市民館にて「歌 de 認知症予防 SHOW」を開催。地域の皆さまに音楽を通じた認知症予防と健康づくりの楽しさをお届けする初めての試みでしたが、多くの方々にご参加いただき大盛況となりました。

音楽療法は、バナナ園グループが10年以上にわたり取り組んできた活動の1つで、入居者さまからも高い評価を得ています。今回は、これまでの活動を地域全体に広げたいと考え、プロのアーティストによる歌謡ショーや、音楽を使って身体を動かすプログラムを実施しました。

イベント冒頭、矢野理事長は「スタッフや地域の皆さま、そして外部の方々の協力があってこそ、今日のイベントが実現しました」と感謝を述べるとともに、「こうした取り組みを地域にもっと知っていただきたい」とイベントへの想いを話しました。本記事では、3部構成で行われたイベントの様子をお届けします。

第一部:音楽がもたらす認知症予防の可能性

イベントの第一部では、音楽療法士の高橋佐智代さんと、バナナ園グループのトレーニングプログラム「バナトレ」を担当するトレーナーの太田藍さんによる対談が行われ、音楽療法の効果やその実践方法について紹介されました。
高橋さんは音楽療法について、“音楽を活用して心身の健康をサポートする治療法“と説明。音楽には、「脳神経への働きかけ」や「記憶を呼び起こす力」、「心身を活性化させるリズムの力」があり、認知症予防やケアに役立つと話しました。懐かしい歌を歌うことで会話が弾み、記憶が蘇ることで気持ちが前向きになることや、音楽のリズムが自然に身体を動かすきっかけになることが具体例として挙げられました。一方で、「ネガティブな記憶に結びつく可能性にも配慮が大切」といい、音楽の選び方には細心の注意を払っているとのことです。
高橋さんは、参加者一人ひとりの年齢や生活背景、身体状況を丁寧にヒアリングし、その人に適した音楽を選定。個々の状況に合わせたプログラムを計画することで、音楽療法の効果をより高めているといいます。

講演の中では、バナナ園グループの事業所で日常的に行われている音楽療法の様子を映像で紹介。季節の野菜を手に取りながら四季を感じるプログラムや、手遊び歌「あんたがたどこさ」を使った集中力を養うセッションが映し出されると、会場の皆さまも自然と歌い始め、音楽療法の楽しさを実感する場面が見られました。

さらに、歌う際の姿勢や呼吸の重要性についても解説があり、太田さんからは「骨盤底筋群と横隔膜が平行でないと正しい声が出ない」と運動療法の視点から補足。「背もたれから少し離れて骨盤を立てるだけでも身体の土台が整います」とのアドバイスに、ご来場いただいた皆さんが一斉に姿勢を正す姿が印象的でした。

第二部:音楽の力を体感するライブセッション

続く第二部では、アーティスト奈月れいさんと三崎一平さんによる歌謡ショーが行われました。奈月さんは、パラリンピック正式種日「シッティングバレーボール」の公式サポートシンガーに選ばれるなどの実力派シンガー。一方、三崎さんは長年ロスインディオスに在籍し、数々のヒット曲に携わっています。現在はソロアーティストとして、持ち前の高音を生かした歌声でファンを魅了し続けています。

ライブの中では、「みんなで歌いましょう!」という奈月さんの明るい呼びかけに会場中の声が一つになったり、「背筋曲がってないですか?」という三崎さんの軽妙な一言に笑いが起こる瞬間も。

さらに、お二人がステージを降りて観客席を回りながら握手を交わす場面では、皆さんも笑顔になり、会場は大盛り上がりとなりました。さらに、お二人がステージを降りて観客席を回りながら握手を交わす場面では、皆さんも笑顔になり、会場は大盛り上がりとなりました。

第三部:音楽と運動の力を体感するインタラクティブセッション

第三部では、音楽療法の実践をテーマに、参加者全員が体を動かすインタラクティブセッションが行われました。奈月れいさんと三崎一平さんも一緒に、「別れても好きな人」や「ふるさと」の楽曲に合わせて、バナトレをベースにしたプログラムがスタート。会場には音楽と歌声が響き、参加者全員が楽しみながら体を動かす特別な時間となりました。

セッションの動きは、骨盤を立てたり脊柱を整えたりするシンプルなものが中心。「これらの動きは、体の土台を整え、現状維持を支えるカギになります。続けることで手が上がりやすくなったり、背中の痛みが軽減するなど、日常生活の質を大きく向上させる効果も期待できます」と太田さんは説明しました。
また、高橋さんからは「音楽療法は心と体の両面で健康を支える力を秘めています。音楽のリズムが自然に体を動かすきっかけになり、歌うことで気持ちが明るくなり、前向きな気持ちを引き出します」と話し、音楽がもたらす心身の活性化について触れられました。

参加者からは、「楽しく体を動かせた」「懐かしい音楽に泣きながら歌った」「これからの生活にとてもいいヒントになった」といった感想が寄せられ、音楽と運動がもたらす力を実感する時間となりました。参加者だけでなく、職員にとっても心に残る特別なセッションとなりました。

イベントを振り返って

今回のイベントにはたくさんの方々にご来場いただき、音楽療法や運動療法を通じて、健康づくりについて考える素晴らしい時間を共有できたと感じています。参加者の皆さまの笑顔や生き生きとした姿、そして「楽しかった」「また参加したい」といった温かいご感想からも、この取り組みが多くの方々に楽しさと健康意識を届けられたことを実感しています。

このイベントが実現したのは、日々ご支援いただいている地域の皆さまや、ご協力いただいたチームケアの皆さまのおかげです。バナナ園グループでは、今回のイベントを1つのステップとし、音楽や運動を取り入れたケアの可能性をさらに広げていきたいと考えています。地域社会とともに、利用者一人ひとりの笑顔があふれる毎日を目指して、今後もさまざまな取り組みに挑戦してまいります。

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