要介護認定のレベルとは?7段階の違いと受けられるサービスを分かりやすく解説
「最近、親の様子が少し心配」「病院で要介護認定の話をされたけど、よく分からない」。親の介護が現実的になったとき、多くの方がこのような戸惑いや不安を感じます。要介護認定は、公的な介護サービスを受けるために不可欠な手続きですが、その仕組みは少し複雑です。
この記事では、要介護認定のレベルとは何か、各レベルの違い、受けられるサービス、そして申請方法まで、一つひとつ丁寧に解説していきます。
要介護認定とは?制度の基本を解説
介護保険サービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。これは、申請者がどのくらい介護を必要とする状態にあるのかを、市区町村が公平に判断するための仕組みです。ここでは、その基本的な考え方と必要性について解説します。
介護の必要度合いを示す公的な指標
要介護認定とは、高齢者の心身の状態に基づき、日常生活でどの程度の介護や支援が必要かを判断する公的な指標のことです。この認定結果によって、利用できる介護保険サービスの種類や量が決まります。判定は、「自立(非該当)」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の合計8段階に区分され、数字が大きくなるほど、より多くの介護が必要な状態であることを示します。

なぜ要介護認定が必要になるのか
介護保険サービスは、税金や保険料を財源として提供される公的なサービスです。そのため、本当にサービスを必要とする人に、適切な内容を届ける必要があります。要介護認定は、その必要度を客観的な基準で判断し、個々の状態に合わせたサービスを提供するために不可欠なプロセスです。認定を受けることで、費用の1割〜3割の自己負担で、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルといった多様なサービスを利用できるようになります。

要介護認定のレベルは全8段階
要介護認定のレベルは、介護が不要な「自立」を含めると全部で8段階に分けられます。ここでは、大きく3つのグループ「自立」「要支援」「要介護」に分けて、それぞれの基本的な違いを説明します。

「自立」:介護保険サービスは対象外
「自立」は、非該当とも呼ばれ、日常生活を自分自身の力で送ることができ、介護や支援の必要がないと判断された状態です。この場合、介護保険によるサービスは利用できません。ただし、市区町村が独自に行っている高齢者向けの支援サービスを利用できる場合があります。
「要支援1〜2」:介護予防サービスが中心
「要支援」は、現時点では介護の必要性は低いものの、将来的に要介護状態になることを予防するための支援が必要な状態です。レベルは要支援1と要支援2の2段階に分かれています。掃除や買い物といった身の回りのことの一部に手助けが必要な場合などが該当し、提供されるサービスも、生活機能の維持・向上を目的とした「介護予防サービス」が中心となります。
「要介護1〜5」:生活全般の介護サービス
「要介護」は、立ち上がりや歩行、食事、入浴、排泄といった日常生活の基本的な動作において、何らかの介護を必要とする状態です。レベルは要介護1から要介護5までの5段階あり、数字が大きくなるほど介護の必要度が高くなります。訪問介護やデイサービス、ショートステイ、施設入所といった、生活を支えるための本格的な介護サービスが利用できます。

【レベル一覧】要支援・要介護の状態像の目安
厚生労働省が示す基準を基に、各レベルがどのような心身の状態に該当するのか、具体的な目安を解説します。ただし、これらはあくまで目安であり、個々の状況によって総合的に判断されます。

| 区分 | 心身の状態の目安 |
| 要支援1 | 食事や排泄などはほとんど一人でできるが、立ち上がりや片足での立位保持に不安定さが見られることがある。掃除や身の回りのことの一部に見守りや手助けが必要な場合がある。 |
| 要支援2 | 食事や排泄などはほとんど一人でできるが、立ち上がりや歩行が不安定なことがある。身の回りのことや入浴、掃除などに一部手助けが必要。要介護状態への移行を防ぐための支援が必要な状態。 |
| 要介護1 | 食事や排泄はほとんど一人でできるが、立ち上がりや歩行に不安定さがあり、部分的な介助が必要。入浴や掃除などで一部介助が必要。問題行動や理解の低下が見られることがある。 |
| 要介護2 | 食事や排泄に一部介助が必要になることがある。立ち上がりや歩行に支えが必要。入浴や衣服の着脱、掃除などに介助が必要。問題行動や理解の低下が見られることがある。 |
| 要介護3 | 食事や排泄に一部介助または全介助が必要。立ち上がりや歩行が自力では困難で、車いすの利用が多くなる。入浴や衣服の着脱、掃除などは全般的な介助が必要。 |
| 要介護4 | 食事、排泄、入浴、衣服の着脱など、日常生活の多くの場面で介助が必要。自力での移動が困難。思考力や理解力の低下が著しく、問題行動が見られることもある。 |
| 要介護5 | 生活全般にわたって全面的な介助が必要。自力での移動はほぼ不可能で、ほとんどの時間をベッド上で過ごす(寝たきり状態)。意思の伝達が困難な場合が多い。 |
要支援1の状態像
基本的にはご自身で日常生活を送ることができますが、掃除や買い物など、少し複雑な家事の一部に手助けが必要な状態です。介護予防サービスを利用することで、身体機能の維持・改善を目指します。
要支援2の状態像
要支援1の状態に加え、歩行や立ち上がりに不安定さが見られ、転倒のリスクが高まる状態です。入浴時に背中を洗うなどの動作で見守りや軽い介助が必要になることがあります。
要介護1の状態像
食事や排泄はほとんど自力でできますが、立ち上がりや歩行時に支えが必要になるなど、部分的な介助が日常的に必要となります。また、認知機能の低下が見られ始めることもあります。
要介護2の状態像
要介護1よりも身体能力や思考力の低下が見られ、食事や排泄、入浴といった日常生活の多くの場面で介助が必要となります。つめ切りや着替えなど、身だしなみにも手助けがいるようになります。
要介護3の状態像
自力で立ち上がったり歩いたりすることが困難になり、車いすを利用することが多くなります。食事や排泄、入浴など、日常生活全般にわたって介助が必要です。認知症の症状が見られることも多くなります。

要介護4の状態像
要介護3よりもさらに動作能力が低下し、生活のあらゆる場面で介助がなければ生活が困難な状態です。思考力や理解力も著しく低下し、コミュニケーションが難しくなることがあります。
要介護5の状態像
生活のすべてにおいて全面的な介助が必要で、ほとんどの時間をベッドの上で過ごす、いわゆる「寝たきり」の状態です。意思疎通を図ることも難しいケースが多く、常に介護が必要となります。

レベル別で利用できるサービスの内容と費用
要介護認定のレベルによって、利用できるサービスの種類や介護保険から給付される月々の上限額(支給限度額)が異なります。ここでは代表的なサービス例と費用の考え方について説明します。
要支援1・2で利用できるサービス例
要支援の方が利用するのは「介護予防サービス」です。身体機能の改善や維持を目的としたサービスが中心となります。
| サービスの種類 | 内容 |
| 介護予防訪問リハビリテーション | 理学療法士などが自宅を訪問し、リハビリテーションを行う。 |
| 介護予防通所リハビリテーション(デイケア) | 施設に通い、リハビリテーションやレクリエーションを行う。 |
| 介護予防福祉用具貸与 | 手すりや歩行器など、自立を助ける福祉用具をレンタルする。 |
| 介護予防訪問入浴介護 | 自宅の浴槽での入浴が困難な場合に、専門のスタッフと移動入浴車が訪問し、入浴を介助する。 |
参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索『サービス編』」
要介護1〜5で利用できるサービス例
要介護の方は、生活を支えるための様々な「介護サービス」を利用できます。

| サービスの種類 | 内容 |
| 訪問介護(ホームヘルプ) | ヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行う。 |
| 通所介護(デイサービス) | 施設に通い、食事や入浴の提供、レクリエーション、機能訓練などを受ける。 |
| 短期入所生活介護(ショートステイ) | 短期間施設に宿泊し、日常生活上の支援や機能訓練を受ける。 |
| 特別養護老人ホーム(施設サービス) | 常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する施設。原則として要介護3以上の方が対象。 |
参考:【介護サービス種類まとめ】在宅・施設・地域密着型とは?内容を比較して解説します-【公式】バナナ園グループ
厚生労働省「1. 特別養護老人ホームの重点化について」
厚生労働省「公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索」
介護保険サービスの自己負担額
介護保険サービスを利用した際の自己負担額は、原則としてサービス費用の1割です。ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。また、レベルごとに定められた支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超えた分は全額自己負担となるため注意が必要です。

参考:サービスにかかる利用料|介護保険の解説|介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」
要介護認定を受けるまでの申請手続きの流れ
要介護認定を受けるための申請から結果が通知されるまでの一般的な流れを、3つのステップで解説します

手順1:市区町村の窓口で申請する
まず、お住まいの市区町村の役所や地域包括支援センターの窓口で「要介護認定」の申請を行います。申請には、申請書、介護保険被保険者証が必要です。40~64歳の第2号被保険者が申請を行う場合は、医療保険証が必要です。また、マイナンバー(個人番号)の記載が求められますが、マイナンバーカードのほか、通知カードやマイナンバー記載の住民票でも対応可能です。申請は本人または家族のほか、地域包括支援センターなどに代行してもらうことも可能です。
手順2:認定調査と主治医の意見書
申請後、市区町村の認定調査員が自宅などを訪問し、心身の状態や日常生活の様子について本人や家族から聞き取り調査を行います(訪問調査)。同時に、市区町村から本人の主治医に対して、病状などに関する意見書の作成が依頼されます。この訪問調査の結果と主治-医の意見書が、審査の重要な資料となります。
手順3:審査と認定結果の通知
訪問調査の結果と主治医の意見書をもとに、まずコンピュータによる一次判定が行われます。その後、保健・医療・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」が一次判定の結果や特記事項などを踏まえて審査し、最終的な要介護度を判定します(二次判定)。申請から結果の通知までは、原則として30日以内に行われます。

認定結果に納得できない場合の対処法
通知された認定結果に「状態の実態と合っていない」など、納得できない場合もあります。その際には、不服を申し立てるためのいくつかの方法があります。

区分変更申請を検討する
認定結果が出た後でも、心身の状態が悪化した場合などには、いつでも「区分変更申請」を行うことができます。これは、改めて認定調査を受け、要介護度を見直してもらうための手続きです。認定結果に疑問がある場合、まずはこちらを検討するのが一般的です。
不服申し立て(審査請求)を行う
区分変更申請ではなく、当初の決定そのものに不服がある場合は、各都道府県に設置されている「介護保険審査会」に審査請求(不服申し立て)をすることができます。ただし、この申し立てができるのは、原則として結果を知った日の翌日から3ヶ月以内と定められています。
まとめ
要介護認定は、ご本人やご家族が安心して介護サービスを利用するための第一歩です。この記事では、要介護認定のレベルごとの状態や受けられるサービス、申請の流れについて解説しました。ご家族だけで抱え込まず、まずは地域包括支援センターなどに相談してみてください。
